アメリカ 仕事探し & アメリカ 就職 : キャリアビジョンアメリカ

社長コラム

人を造る…教育基本法の改正と愛国心

 いささか旧聞に属するが、一昨年末に安倍内閣が最重要法案と位置付けていた教育基本法改正案が成立した。 それまでの教育基本法が占領下の昭和22年3月に制定されて以来、約60年ぶりの改正である。

 改正法には、それまでには無かった新しい理念が盛り込まれている。そのなかでも、「我が国と郷土を愛する態度」 「伝統と文化の尊重」「公共の精神」「豊かな情操と道徳心」などは、戦後教育で軽視されがちだった教育理念である。 一部のマスコミや日教組などは愛国心が押しつけられはしないかと心配しているが、そもそも愛国心というものは、 押しつけられて身につくものではない。日本の歴史を学び、伝統文化に接することにより、自然に養われるものであろう。

 『ロスノフスキーの娘』というジェフリー・アーチャーの小説があるが、 教育基本法の改正に伴う愛国心に関連する議論を耳にする時、私はこの小説を思い浮かべる。 これは、アメリカのホテル王になったポーランド人アベルの娘、フロレンティナの物語である。 フロレンティナは学校へ行くと、「ダム・ポーラック」と馬鹿にされる。ポーラックというのは、 日本人をジャップと呼ぶのと同じようなポーランド人への蔑称であり、 「ポーラックの馬鹿娘」というような感じでフロレンティナは蔑まれていた。ただ父のアベルは金持ちであり、 娘の教育のためにイギリスの有名な女学校の女性校長を家庭教師に引き抜いて娘に付ける。 そしてこの家庭教師は次のように言うのである。「私はすべての学科を教えられます。 しかし、ただ一つポーランドの歴史は教えられません。歴史というものは誇りを持って教えなければなりません。 私はイギリス人ですからポーランドの歴史に誇りを持って教えることはできません。それができるのはお父さん、 あなただけです」と。

   こう言われたアベルは毎朝三十分ほど時間を割いて娘にポーランドの歴史を教え始める。 ポーランドが強大なロシアやドイツに挟まれていかに苦難の道を歩んだか。 民族としてのアイデンティティをいかに保って、その中から有為の人材を輩出してきたかということを語る。 娘はそれを聞きながら、自分がポーランド系であることに誇りを持つようになる。そしてある時学校で歴史の試験があった。 一番良い成績を取ったフロレンティナに同級生は、「ダム・ポーラックがいい成績を取った」と囃し立てるが、 彼女は「ポーランドには長い歴史がある。あなたがたアメリカはたった二百年の歴史しかない。 長い歴史を持った私が、歴史の試験でいい成績を取るのは当たり前でしょう」と自身に溢れた態度で言うのである。

   その後小説の主人公であるフロレンティナは自分のポーランド人としての血に誇りを持った時、 アメリカ人としての誇りも同時に有するようになり、そしてアメリカ最初の女性大統領にまでなるのだが、 これは今日の日本にとって実に教訓的な小説だと思われるのである。

 もちろんポーランドが国際的にどれほどの存在かということを客観的に言えば、 隣接するドイツやロシアなどの大国と比べた時、さして大きくは無いかもしれない。 しかし、ポーランド人にとっての矜持、愛国心でいえば、それはさして重要ではないのである。 そしてそれはどの国、どの民族にとっても同じ筈である。

   民族の矜持というものはなかなか理屈では教えられない。「教育は国家百年の計」とはよく言われる言葉だが、 戦後の教育を司ってきた人々はどれほどそれを意識してきたであろうか。特に先の大戦の敗北と連合国による占領政策の結果、 明治大正まで連続してきた日本人の縦の時間軸がすっかり断ち切られてしまった。 そして日本の文化伝統の継承ということを考えれば、それは明らかに損なわれたてしまったと言わざるを得ないことに、 今多くの人達が気付いたのである。

 未来の日本人のために教育現場で何を再生し、何を紡ぎ直さなければならないか。 教育基本法の改正を見た今のこの時期にこそ、民族、同胞に対する誇りという視点に立ち、全体を俯瞰した上で、 その問題意識の確認から始めなければならないと強く思うのである。

以上

YT リゾリューションサービシズ
社長 高崎 康裕

オンライン登録

仕事探しをご依頼の方はこちらからご登録ください。

来社登録予約

オンライン登録前に弊社オフィスにお越しのうえ、ご相談いただけます。

登録からアメリカ就職まで

ニューヨーク 仕事探し

キャリアビジョン社長コラム